職場でのメンタルヘルスの増加、自殺を増やしている原因とは
メンタルヘルスの問題や果ての自殺が止まないのは成果主義が原因ではないかと考えている。成果を重視するあまり、小さな芽のうちに摘み取ることが行われていないからだ。
成果主義ではとにかく成果を上げることに注力する。成果を上げるといっても、いろいろなことはやりつくされており、何か新しいこと、今まで誰もやっていないところに注力する。PDCAが回っているようなある程度定型業務の職場であれば、PDCAを回すこと=業績アップとなるため、業務における様々な面の品質が向上する。
一方、IT業界、特に、システム営業の現場では、PDCAは回りにくい。大枠は一緒なのだが、繰り返そうにも案件ごとに都度条件が異なっている。また、業務の種類も結構範囲が広く、すべてを精通している人はまれである。詳しいからきちんとやっても、上司がその内情を理解していないことも多く評価にならないこともある。
このような状況で優先順位が下がりがちなのは、実際に作業をしている人の「気持ち」である。「ホーソン効果」でも結局のところ作業効率は人の「気持ち」によるところが大きいのだが、業績評価において定量的とは言い難い。故にそうではない部分に目がいきがちである。
更によくないのは、すでに人間関係において何らかのトラブル・問題の芽が生じていたとしても、その芽を摘むことの優先順位が低いままになってしまうことである。こういうトラブルはほっておくとどんどん大きく育ってしまうが、成果主義の上司・部下はじきによくなるだろう、などと楽観的に考えがちだ。
システムのトラブルであれば、最悪大ナタを振るえば解決する。しかし、メンタルヘルスの問題、およびそれに伴う自殺の問題はそうもいかない。その解決には当事者はかなり大きなコストを払うか、そもそも亡くなってしまってはもともこもない。
最近、建設現場をはじめ労災が増えている。安全衛生の重要性が叫ばれているが、成果主義をとる会社は、この構造にも注意を払うべきだ。
c.f.